『マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋』

マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋 [DVD]
これは、おもちゃ屋の地下室でベリーニという男が忠実に書き記しているマゴリアム物語の終わりの章である。その終わりはモリー・マホーニーのお話の始まりでもあった。
おもちゃ屋で店長を任されているモリーは、23歳でもピアニスト“志望”のまま自信を持てずにいた。おもちゃ屋の常連のエリックは、勇気がなく友達を作れないけど器用で想像力ある帽子集めが趣味な子供。店のオーナーであるマゴリアムに雇われた会計士のヘンリーは、仕事ばかりで魔法を全く信じていない大人だ。200歳を超える魔法使いマゴリアムは自分の死期を知っていた。遺言にはちゃんと“お店をモリーに譲る”と遺しているし、ヘンリーも雇って店の価値を算出させていた。想像力と感情を与えられているおもちゃ屋の壁は、マゴリアムが去ることに反対と言うかのように機嫌を損ねて、魔法も効力を失っていく。
モリーは元気なマゴリアムが死ぬなんて信じていなかったし、最期と言う一日を一緒にエンジョイし「生きていてほしい」と伝えていた。が、マゴリアムは宣言どおり息絶えてしまった。元気をなくした魔法のおもちゃ屋は、「私には無理」と言うモリーによって売りに出されてしまう。魔法を、自分の力を信じるよう説得するエリックに、「だって子供じゃないもの」と返すモリー。エリックは“子供じゃないからお店を任せて貰えたのだ”と主張する。エリックが子供でなかったら、きっと……と。エリックは店舗売却を阻止するためにヘンリーのもとへ出向くが、いい条件の買取り希望相手がおりエリックは無力だった。その取引話を伝えにモリーと会ったヘンリーだが、ヘンリーはそこで彼女の魔法を目撃する。モリー自身は気付いていないなかヘンリーもお店を売るべきではないと言い始め、やがてモリーも自分に魔法が使えると知ることになった。お店はモリーの魔法で活気を取り戻し、復活した。


……ピアニストには、ならなくて良かったのだろうか?自分を信じる力を手に入れた彼女は作曲の方面でも意欲を湧かせることだろうとは思うが、その点について後半では一切触れていない。前半であれだけ“23歳にもなって夢にすがっている”的な言い回しをしていたのに……。マゴリアムおじさんの死期も、これといって伝わってくるものがない。根拠に「気に入って一生分買った靴がこの一足で最後」と言っているが、その靴は履き古されてボロボロになっているわけでもない。
大人に向けて“夢を諦めるな”とか“子供の頃の気持ちを思いだして”とメッセージを込めた映画だからと、他のを引き合いに出して期待を持っていたせいだろうか。感動もなかったし、訴えたいのであろう“自分の力を信じる”面でも心にグッとくるものが得られなかった。大抵であれば共感や納得を感じるものなのだが。


評価 ★★☆☆☆2/5
意味不明。