『ターミナル』

ターミナル DTSスペシャル・エディション [DVD]
ビクター・ナボロスキーはアメリカ、ケネディ空港に降り立った。しかし、彼が飛行機に乗っている最中、彼の母国クラコージアではクーデターが起こり、一時的にパスポートの使用が不可能となってしまっていた。合衆国への入国は許可されず、おまけにクラコージアの新政府が国境を封鎖しており、合衆国と国交を新しく結ばないかぎり帰還する飛行機も出ないというのだ。つまりビクターは、空港で身動きが取れない状態になってしまっていた。
税関国境警備局のフランク・ディクソンは、この前代未聞の問題に最初は真摯に対応していた。トランジット用のラウンジ内であれば自由にしてよいと許可を与え、数枚の食券・テレホンカード・ドアを開けるために必要なIDカードもビクターに寄付してやった。しかし、昇進の話が入り込むと事情は変わる。フランクにとって、ビクターの問題はフランクの昇進を脅かしかねない。フランクはビクターが空港で生きていくのを阻むように、空港から一歩でも外に逃げ出してくれれば自分の管轄から外れると、邪魔な企てを仕掛けていく。
テレビ画面より母国のクーデター報道を知ったビクターだが、英語がわからない彼が「プリーズ!」と頼んでも手助けをしてくれる者はいなかった。言葉も勝手もわからないアメリカの空港で、ビクターは逞しく生き延びる術を見つけていく。原文とロシア語に翻訳された本を読み比べて英語の勉強をしたり、腕を見込まれて空港内の建築業の仕事に加わり高い自給を貰ったり……。次第に仲間もできて、空港での生活にも慣れてくる。そんな中でも、彼は毎日新しいビザを貰うために2時間、税関国境警備局の窓口に並んでいた。
ある日、ビクターは税関で父親の薬を取り上げられそうになっていたロシア人男性の翻訳を任され、機転を利かせて男を救う。それは、フランクの怒りを買い……。後日、脚色も若干加わったビクターの活躍は仲間達によって空港内で働く者達へ次々と伝えられた。そして、ビクターを応援する声も多く得られるようになった頃、クーデターが鎮まり、一時的に有効なビザも得られた。毎日並んでいた税関の窓口でようやく“許可”のスタンプを押して貰える日が来たのだが、フランクは「帰れ」と言う。ビクターが常に大事に抱えていたピーナッツ缶の中に渡米の目的があるのに、ソレを叶える事を許さず、帰らなければ仲間達の身に解雇等を言い渡すと脅すのだが、仲間達の身を捨てた行動によりビクターは一日限りでアメリカの地を踏み、念願のジャズクラブへ赴く事ができた。


空港内という舞台の中だけで繰り広げられるドラマは面白い。が、オチはイマイチ。死んだ父親がジャズのファンで、メンバーに手紙を送り皆からサインを送り返して貰っていたのだが、そのコレクションが一人を残して父は亡くなり、墓前でやり遂げると誓ったビクターはアメリカに……。というのは、パンチが弱い。このために?と思えてしまう結末。
ビクターとアメリアの恋愛模様も、中途半端だった。


評価 ★★★★☆4/5
最後まで観なければ面白い。