『スウィートホーム』


テレビ製作スタッフの早川秋子、カメラマン田口亮、レポーターのアスカ、プロデューサー星野和夫とその娘エミの5人は、間宮一郎という画家の最後の壁画を取材するべく山中にある間宮邸に足を踏み入れた。田口は発電機倉庫の扉の鍵を壊すために、積み上げられた石の塔を崩し拝借してしまった。地域の者に祟りがあると言われているその邸内で、5人に不穏な影が忍び寄る。
絵の修復専門のアスカが壁画の埃を除去していく様子を撮影する内、他の場所からも壁画が発見された。しかし、それは不気味なもので。マリアのような最初の壁画とは対照的に、墓、炎、焦げた赤ん坊など、黒々しい絵だった。その後、憑かれたようにうわ言を口走るようになるアスカ。アスカは無意識に墓を掘り返し、赤ん坊の遺体を大事に抱えていた。
秋子がガソリンスタンドで知り合った山村健一の話によると、間宮家では、ヨチヨチ歩きを覚えたばかりの赤ん坊が入り込んだ焼却炉に夫人が知らずに火をつけてしまった事件があったという。なんとか助け出すも赤ん坊のヤケドは酷く、命を引き取った。その後、近隣一帯で子供達数人が姿を消す騒ぎが起こる。その犯人は間宮夫人で、独りで亡くなってしまった赤ん坊の為に……と、遊び相手を作っていたのだと言う。そして罪に問われた夫人も自ら焼却炉に身を投げた……。田口が倒してしまったのは、その供養塔だったのだ。それによって闇・影は邪悪な信念を持ってしまった。
最初の犠牲者は田口だった。影に侵され身体の内から溶け出していくが、上半身だけになった彼はそれでもアスカに縋りついた。そして、恐怖に怯えたアスカの手によって命を絶たれてしまう。田口をスパナで殴りトドメをさしたアスカは直後、泣きながら部屋を後にした途端、壁に立て掛けておいた大きなアックスが脳天めがけて振り下り、車椅子に座った姿勢で影に呑まれ溶けてゆく。
子を失った母と母を失った子の想いが引き合い、今度はエミが姿を消してしまった。和夫と共に何としても救い出そうと決心する秋子だが、子を持った事のない普通の女が“母”に打ち勝つことは容易な事ではなかった。山村が命を捨てて救い出したエミは間宮夫人に姿を変え、和夫と秋子はいったん屋敷の外へ逃げ出した。山村の御守を抱え、再び単身で乗り込んだ和夫だが、反応はなく……。秋子はエミの母親の服に身を包み、一人、焼却炉の悪霊と対峙しエミを保護する。その後、エミが赤ん坊の遺体を悪霊に返して鎮められた。和夫も無事に館から出る事ができ、3人が去った後、間宮邸は崩落した。


評価 ★★★★☆4/5
昔は凄いと思っていたが、このSFXの技術は今の時代ではやはり拙さが目立ってしまう。
裁判沙汰もあって、今では観る事も困難な貴重な作品。